4月 18th, 2012
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シャープと凸版印刷,大日本印刷-液晶カラーフィルター事業をシャープ堺工場に統合《前編》

 シャープ株式会社と,凸版印刷株式会社,大日本印刷株式会社の3社は,凸版印刷及び凸版印刷の100%子会社である株式会社トッパンエレクトロニクスプロダクツ,並びに大日本印刷及び大日本印刷の100%子会社である株式会社DNPカラーテクノ堺の堺工場における液晶カラーフィルター事業を,シャープの子会社であるシャープディスプレイプロダクト株式会社(以下,「SDP」という)に統合させることについて,基本合意書を締結したと4月10日に発表しています。なお,4月末に最終契約書の締結し,6月30日に統合する予定とし,統合の手法については,今後統合に係る各当事者で協議の上決定するとしています。

 SDP(堺工場)は2009年10月より稼動を開始した世界で唯一の第10世代液晶工場。液晶パネルの部材メーカーに加え,電気,ガスや水といったインフラ・エネルギーメーカーが堺工場に進出し,部材から液晶パネルまでの一貫生産を実現し,液晶パネル生産の垂直統合化を推し進めてきたそうです。(この垂直統合化の中に,トッパンエレクトロニクスプロダクツとDNPカラーテクノ堺も含まれており,堺工場内で液晶カラーフィルター事業を展開していたということです)
 しかしながら,SDPを取り巻く経営環境は,円高基調の恒常化やデジタル商品の熾烈な競争激化による市場価格の下落など,厳しさが一層増しており,堺工場の操業安定化とコスト競争力の強化を実現すべく更なる効率運営が必要となっていたとのこと。
 そのような事情もあり,先般,シャープは,鴻海(ホンハイ)精密工業グループと資本業務提携契約を締結しています。その業務提携により,今後はSDPで生産する液晶パネル・モジュールを,鴻海精密工業とシャープがそれぞれ50%ずつ引き取ることなっており,これによりSDPの高い稼動率維持を図り,そのコスト力強化と収益性改善を図ることとしたとしています。

 そして,シャープ,凸版印刷及び大日本印刷にとって,今回のトッパンエレクトロニクスプロダクツとDNPカラーテクノ堺の液晶カラーフィルター事業のSDP統合には,液晶パネルの主要部材であるカラーフィルターも含めた大型液晶事業の一層の効率化を図り,同事業の競争力強化を目指すという目的があったとしています。

 そしてニュースリリースの最後で,シャープは,SDP社株式について,鴻海精密工業の会長である郭 台銘(テリー・ゴウ)氏が132万株(所有割合46.48%)を取得する予定であり,また,今回の統合に伴い,凸版印刷及び大日本印刷への統合対価としてSDP株式の発行が見込まれることから,当該株式譲渡及び統合が実行された場合,シャープのSDPに対する議決権比率が40%未満となり子会社の異動が見込まれると述べて締めくくっています。

 現在,SDP自体の稼働率は約50%と低迷しているとのこと。必然的に,凸版印刷と大日本印刷の両社が生産する液晶カラーフィルターの出荷台数も減少することになります。
 大日本印刷と凸版印刷,両社とも,液晶カラーフィルター事業は,自社の主幹事業の一つとなったエレクトロニクス系事業部門の大きな柱であり,これまで売上げに大きく貢献してきました。
 それが,提携する日本の家電メーカーの業績低迷による液晶ディスプレイの大幅な減産体制のシフトが影響し,液晶カラーフィルターも減産せざるをえなくなっていました。
 実際,大日本印刷が2012年2月10日に発表した決算報告では,2012年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結最終利益は,前年同期比84.3%減の40.6億円と大きく落ち込み,併せて通期の同利益を従来予想の190億円→80億円(前期は250億円)に57.9%下方修正したことが伝えられています。大日本印刷は修正の理由として,第3四半期までの業績が,液晶ディスプレイ市場の低迷により,液晶関連部材が大きな影響を受け,カラーフィルターと反射防止フィルムの売上が減少したことなどから,営業利益,経常利益とも減益となったためとしています。
 同日,凸版印刷も決算を発表しており,2012年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結経常利益は,前年同期比21.9%減の225億円に減り,併せて通期の同利益を従来予想の420億円→290億円(前期は445億円)に31.0%下方修正したことを伝え,その修正理由の要因として,「特にエレクトロニクス系事業については,カラーフィルターは液晶パネル市況の悪化の影響を受けて,大型サイズ向けを中心に受注が減少し,当初の計画を下回った」ためとしています。
 こうした環境下での,シャープと鴻海精密工業グループの資本業務提携です。これにより,今後,SDPで生産する液晶パネル・モジュールを,鴻海精密工業とシャープがそれぞれ50%ずつ引き取る約束が実施され,堺工場の稼動率引き上げが維持されれば,同時に主要部材である液晶カラーフィルターの出荷も増加するという目算があっての,3社合意による液晶カラーフィルター事業のシャープ堺工場への統合ということのようです。

 後編では,そのベースとなった,シャープと鴻海精密工業の事情や動きなどを中心に見てみます。
 《後編》へ続きます。